相場よりも大幅に安く物件を入手できる可能性もあって、最初の物件は競売で手に入れようと考える人も多いですが、競売には通常の物件購入とは違うリスクもあることを認識しておかないといけません。
ここでは、競売物件に潜むリスクと失敗事例について紹介していきます。
目次
不動産会社などから物件を購入する通常購入の場合、不動産会社から物件の状況の説明を聞く、内覧することも可能です。説明に漏れがあれば瑕疵担保責任を問うこともできます。
ですが、競売物件の場合は、まず内覧はできません。さらに、瑕疵が見つかったとしても売る側ではなく買った側が瑕疵の除去費用を全て負担しなければなりません。
競売物件には「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」が付いており、それを確認して競売に参加するしないの判断をします。
この3つの資料は、裁判所の職員が作成しますので、もちろんその道のプロではあるのですが、こちらの希望する情報を完璧に聞き出せているかと言われれば、そうは言いきれないのが実情です。
後になって、家が傾いていたり、水漏れが発生していたなんてこともあるようで、その際は買った人が修繕費用の負担をしなければなりません。
それまで住んでいた人が、そこに物(例えば、タンスとか家電)を残していってしまうリスクがあります。競売で手に入るのはあくまで土地と建物であり、それ以外のものは、それまで住んでいた人が引き続き所有していることになります。
住んでいた人が、残していったものはそちらで処分していいと言ってくれれば、単純に残置物を捨てればいいのですが、住んでいた人と連絡が取れないとか死亡している場合は、行政による強制執行の手続きや相続人の承諾などが必要となります。
手続きが完了するまでは手を付けることができませんので、物件を賃貸に出すこともできません。
物件を競り落としたけれど、住んでいる人が物件を出て行ってくれない場合があります。住んでいる人が債務者つまり物件を売った人であれば、行政による強制執行で退去させることが可能ですが、どうしても1,2か月はかかります。
住んでいる人が賃借人である場合は、もっとややこしくなります。というのも、競売に伴って賃借人が不利益を被らないよう6か月間は以前の賃借契約を引き続き行うことが規定されているからです。
なので、落札から最大6か月間は以前の契約に基づいて賃料収入が発生しますが、内容次第では赤字になってしまうことも考えられます。
さらに、敷金が持ち逃げされた場合は、物件を落札した人に敷金の請求が来ますので、そちらも返還義務が生じます。
競売物件にはこれまで述べたような多くのリスクがあり、物件を競り落としてもそれで終わりではなく、さらに費用の持ち出しが発生する可能性が高いです。
また、落札してからもしばらくの間は賃貸に出したりということができないことも織り込む必要があります。
競売に手を出す場合は、手元に相当の余裕資金を準備しておく必要がありますし、ローンを組む場合は返済開始時期を遅らせるとか、オーバーローンなり別に資金を用意するなりして、家賃収入がない時期をやりくりする必要があります。
資金が手元にない人は、おとなしく通常の不動産取引を選択するようにするべきです。